前の記事では、順調な月経(生理)の目安と、月経(生理)不順のことを書きました
ダンスで夢を追う若いあなたへ⑴〜女性にとって大切な月経(生理)のこと
こちらでは、女性アスリートに多い無月経の影響について書きますね。
無月経だとどうなるの?
月経って面倒に感じることもあるけれど、
例えば
- 将来子供を宿すかもしれない子宮の成長が十分でなかったり、
- 気づかぬうちに疲労骨折を起こしやすい状態に陥っていたり、
- お母さんの年齢になる頃に骨粗鬆症のため運動制限をしなくてはならなくなったり、
- 脳への影響でうつ傾向のリスクが高まったり、
- 心血管や筋肉に影響がでてパフォーマンスに支障が出たり・・・。
今の体はもちろんのこと
将来の体にも大きな影響があるってこと、知っておいて欲しいんです。
あとになって、
「そんなこと、知らなかった!」
そして、今できることがあるんです。
骨密度と月経との関係
通常、女性は20歳頃に最大骨量を獲得し、
その後の増加は乏しく、閉経後に急激に骨密度が低下します。
けれども、10代で適切な体重や(無月経などにより)エストロゲン分泌がないまま20歳を迎えると、
骨量が低い状態で生涯を過ごすことになります。
ですから、できるなら骨密度は10代の頃にしっかり増やしておきたいのです。
Condhitioning Guide for Female Athletes 1 (改訂第2版第二刷)
「女性アスリートの三主徴」って?
バレエやダンスに打ちこむあなたは、立派なアスリート。
その女性アスリートに多い健康問題として、
「利用可能エネルギー不足」・「無月経」・「骨粗鬆症」が挙げられ、
これらは「女性アスリートの三主徴」と呼ばれています。
国際オリンピック委員会は
「スポーツにおける相対的エネルギー不足(Relative Energy Deficiency in Sport:REDs)」の概念を提唱し、
エネルギー不足に対して警鐘をならしています。
REDsの状態は、月経や骨だけでなく発育・発達・心血管・精神・代謝など全身の臓器に影響を及ぼし、
結果的にはパフォーマンスの低下につながります。
そして、女性の場合は無月経がREDsのサイン。
つまり、女性にとって月経(生理)は健康のバロメーターでもあるのです。
参考)Condhitioning Guide for Female Athletes 1 (改訂第2版第二刷)
スポーツ庁委託事業「女性アスリートの育成・支援プロジェクト」の一環として東京大学医学部附属病院 女性診療科・産科が発行
婦人科ドクターからのメッセージ
当スタジオの アドバイザー 婦人科の 芝本 拓巳 先生からあなたへのメッセージです。
婦人科への受診は気が重いことかもしれません。
ですが、
「月経がない」という理由で婦人科を受診するとき、「内診なし」
その場合は、MRIやエコーで子宮の大きさをみたり、
基礎体温表をつけておいて持参されると良いですよ。
また、「月経がこない」時、病気以外では
①栄養状態の不良
②練習量が多すぎる
の大きくはこの二つが考えられますが
①の場合は、
栄養バランスや摂取量だけでなく、
②については、
例えば練習が終わってからも しっかりリラックスできていないかもしれません。
それなら、戦闘モードからの切り替えをする工夫も有効です。
漢方なども使用しながら
体調を改善していく方法がありますので、
気になる時は放っておかず、受診することをおすすめします。
ピラティスでできること
異常がある時は、まずは医師の診断を受けてくださいね。
そして、ドクターからのアドバイスにもありますように、
生活環境や食事の見直しなど、体内環境改善のために自分でできることはたくさんあります。
また、体づかいへのアプローチとしては、ピラティスをおすすめします。
ピラティスは骨盤内の使い方を丁寧に習得しますので、
ダンスのパフォーマンスアップにとどまらず、骨盤周りの血流・環境改善が期待できます。
またダンサーにとって、お腹周りは固く力みやすいところですが、
そうなると、臓器を不自由にしたり、血流を悪くしますので、
そのような体づかいを改善することにもピラティスの体づかいは役立ちます。
骨盤内の環境をよくする方法として、参考になさってください。
さて、
素晴らしいパフォーマンスのために何より大切なのは
心身健やかな大人へと成長すること!
少しでも気になったあなた、できることから初めてくださいね。
これからもずっと踊り続けるという夢を、ボディワークを通して応援しています。