「長時間 座る」はよくないことですか?
大河ドラマ 観てますか?
「光る君へ」で見える宮中の様子
位の高い人たちが坐るのは畳の上
そう、
畳はまさに高貴な人の座布団であり
威厳を示すものでした。
雅な姿の美しいこと。
それもそのはず、
畳の大きさは
一人が坐る使い勝手の良さと
衣装も含めた見栄えの良い寸法として決められたそうですもの。
そして
「座る」に罪悪感なんて感じられません。
「立ち座り」動作はスムーズで、威厳さえ感じられるほど。
「よっこらしょ」などともたもたする様子は決して見せず
手を使わず、姿勢を崩さないのが粋なのです。
ぜひ、真似をしてみて
手を使わずにスッと立ったり坐ったり。
結構難しいものですが、役者さんはさすがです!
では、どうして「座る」が問題視されるのでしょう?
ここでは2年前に講座にした内容を 振り返りながら書いてみます。
ちょっと長くなりますが
座り時間が長い学生さんも
和式トイレを避けるようになったという方も
よろしければ お付き合いくださいね。
「座りすぎ」なぜ問題?
「座りすぎ」への問題意識は世界規模。
2012年には WHOによって
”座り過ぎが世界で年間200万人の死因につながっている”と発表される中
同年のシドニー大学の調査によると
世界20ヵ国中、最も座り時間が長いのが、なんと日本 。
なんだか放ってはおけません。
けれど
座りすぎのいったい何が問題なんでしょう?
大きく分けて二つ
「運動不足」と「不良姿勢」
①運動不足
お尻や腿の大きな筋肉が動かないことから血流は滞りそうだし
糖尿病やがん、代謝疾患
気力低下とメンタル問題にもつながり姿勢不良の②へとつながる
②不良姿勢
まぁこれはピラティスの得意分野
肩こり腰痛があると動くことが嫌になる
血流は滞り運動不足の①へとつながる
①②をグルグルとまぁこんな感じ。
そして
「死亡リスク」にピン!とこない人も多いのでは?
さてここで質問です!
Q) あなたは1日にどれくらいの時間、座ってますか?
A) ①4時間未満 ②8〜11時間 ③11時間以上
①の人に比べて
②の人の死亡リスクは15%増
③の人では40%増
(オーストラリアの研究機関の調査)
少し気が滅入ってきました。
書いてる私もセッション以外では、座ることが多いですからね。
けれど いったい いつから
「座る」がこんなに悪者になったのでしょう。
京都両足院にて
日本文化からみた「座る」所作
木からおりて直立二足歩行の能力を手に入れた人類
そもそも「四足歩行」から「直立二足歩行」へは
大きな大きな革命的変化
手は自由に使えるし
脳は発達するし
骨盤は安定して座れる形へと変化して・・・
そして日本においては
平安時代、高貴な人の座布団、台座として使われた畳
室町時代、部屋全体に畳を敷き詰めた「書院づくり」が誕生し
これが現代の「和室」の原型になりました。
「座る」体づかいが 反映された日本の「家」に加えて、
もう一つ
忘れてはいけないのが「和装」のこと
帯や足袋を身につけることで
自然と背筋が伸びて腹圧が入り
美しい姿勢を保ちやすくなります
しみじみ
日本人は身体を大切にしてきたんだなぁと感じます
「日本人の坐り方」矢田部英正著
現代を生きる私たちにとっての「座る」とは?
明治時代以降に訪れた近代化の波は
日本人のライフスタイルに大きな変化をもたらしました。
和装から洋装へ
和室から洋室へ
畳生活から椅子生活へ
ちょっと腰掛けのつもりが
そこにどっぷり居座ってしまう
それも仕方のないはずで
「椅子生活」が始まってから100年足らず
歴史でみると、よちよち歩きの新しいライフスタイル
より良いあり方がまだ確立されていないとも考えられます
ならば
増え続ける座り時間とともに
自分にとっての椅子との良い付き合い方を
それぞれが模索していくことの大切さも感じます
「高価な椅子」頼みではなく
「座る」身体としてのあり方を、です
座りすぎ問題への解決には
座り時間を減らす、という視点だけではなく
「座る」を悪者にしない「座り方」、「体のあり方」、にヒントがあると個人的には感じています
程よい張力が保たれて、すぐに反応できる状態は・・・?
とりあえず座ろう、の腰掛け気分ではなく
今から⚪︎⚪︎時間座るぞ!と攻める状態(笑)とかね。
そして時々は 座骨ゴロゴロしておこう。。。
おーっと
止まらなくなりそうなので この辺で。
まだまだ探求しがいがありそうなこのテーマ。
座る身体について語らいたいぞ、という方はぜひメッセージを。